鹿児島の実家に帰ったとき、ばあちゃんからこんな話を聞いた。
51歳で他界したじいちゃんが、亡くなる前に「お前も幸せになれよ」と、ばあちゃんに言ったそうだ。
ばあちゃんは、「あんたが死んで、わたしが幸せになれるわけがない。そんなことを言うな」と言ったそうだが、じいちゃんは「言えるうちに言っておきたい」と言ったそうだ。
父さんは、ばあちゃんからこの話を聞くのは初めてで、じいちゃんの優しさを、改めて知ると同時に思った。
もし、こんな風に聞くことがなかったとしたら、こんな素敵なエピソードが誰の記憶の中に残ることもなく、消えていってしまったわけで、それは本当に寂しいことだ。
だから、愛する君たちにも是非、このエピソードを伝えておきたい、と。
君たちのじいちゃんは、こんなに慈しみの心にあふれた、素敵な人だったんだよ。
人は本当に大切なものを、時として見失ってしまうものだ。
そして、失ってしまってから初めて、その大きさに気づく。
父さんが、本当に大切なものを失わずに、今日まで生きて来れたのは、君たちの母さんのおかげだ。
心から感謝している。
君たちの人生は、これからまだまだ長い。
多くの困難に出会うことだろう。
そして、君たちが最もどうしようもなく苦しむのは、おそらく、人との関係についてだ。
そんなとき、このじいちゃんの深い優しさを思い出して欲しい。
きっと、君たちの苦しい心を癒してくれる。
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